ガツン!とキレ味のいい「ジン(Gin)」は、発信源のロンドンを中心に世界で流行中です。
ボトルデザインがしゃれたものも多く、ユニークな味わいのクラフトジンも誕生し、どれを選ぼうか迷います。
今回は イギリス在住10年でバーテンダー経験のあるわたしが イギリスで人気のある美味しいジンを10本厳選して紹介します。
変わったジン飲みたいな、ジン初心者でも飲みやすいジンないかな、と思っている人はぜひ参考にしてください。
飲酒は20歳になってから。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
1)ヘンドリックス ジン(HENDRICK’S GIN)
製造 | ガーバン蒸留所(スコットランド) |
アルコール度数 | 44.0% |
ボタニカル | ジュニパー、オレンジピール、レモンピール、エルダーフラワー、コリアンダーシード、コリアンダーシード、アンジェリカルート、キャラウェイシード、クベブベリー、オリスルート、カモミール、ヤロウ |
ジンといえば、オーソドックスな「タンカレー」や「ボンベイ・サファイア」だった私が、はじめてロンドンで出会ったインパクトのあるジン。
堂々と重みのあるボトルは、家に置いて眺めるだけで心が踊ります。
味わいは実に独特で、キュウリの香りが前に出ています。ジンとキュウリがあうわけがない。。。
あってるし!
ブルガリア産にこだわっているというダマスクローズの香りも華やか。
ぜひキュウリスライスを投入したジン&トニックを試してほしいです。女性や初心者にも飲みやすいです。
2)プリマス・ジン(Plymouth Gin)
製造 | プリマスジン蒸溜所(デボン州プリマス) |
アルコール度数 | 41.2 % |
ボタニカル | ジュニパー・ベリーズ、コーリアンダーシード、オレンジピール レモンピール、アンジェリカ・ルート、グリーンカルダモン、オルリス・ルート など |
「プリマスジン」は、イギリス南西部プリマスにある英国最古の(旧)ブラックフライアーズ蒸溜所で1793年から造られている伝統的なジンです。
プリマスは有名な港湾都市のため、英国海軍に愛されたジンとしても有名。
カルダモンや、レモン、オレンジピールの香りですっきりしているのに、なめらかでクリーミー、キレもあります。
プリマスジンといえば、「マティーニ」、「ギムレット」。人生で一度はプリマスジンのマティーニを飲んでいただきたいです。
3)ローンウルフ ジン(LONEWOLF GIN)
製造 | ローンウルフ蒸溜所(ブリュードッグBrewDog)スコットランド |
アルコール度数 | 40.0% |
ボタニカル | ジュニパー、スコットパイン、グレープフルーツピール、レモンピール、コリアンダーシード、カルダモン、アンジェリカ・ルート、オリス・ルート、タイのレモングラス、ピンクペッパーコーン、カフィアライムの葉、メイス、アーモンド、ラベンダー |
「ローンウルフ ジン」は、ビールの革命を起こしたブリュードッグが造った最初のジン。
とにかくこの「ブリュードッグ」がやばい。
自分たちの納得するビールを作ろうと、ジェームズ氏とマーティン氏のヒッピー系の二人が創業。このビールがイギリスで熱狂的なファンを作ります。わたしもこのビールが大好き!濃厚な麦芽と柑橘の香りを感じるビールです。
この2人が本気でつくったジンがこの「ロ-ンウルフ」。
100%麦芽大麦のウォッカをベースに、ブリュードッグ酵母と14種類のボタニカルを使用してるのが特徴。
味わいはレモンピール、グレープフルーツ系の柑橘系!それからジュニパーベリー、ラベンダーの花の香りもします。柑橘系のジンが好きなら間違いないジン。
「ボトルデザインの攻めてる感じが好き」という友人がいて「ローン・ウルフ=一匹狼」とうキャッチーなネーミングとともに なるほどな、と妙に納得。
なんかカッコいいんですよ!レモンかグレープフルーツのスライスと一緒にジン&トニックで飲むのがわたしのおすすめ
4)シップスミス ロンドンドライジン(Sipsmith London Dry Gin)
製造 | シップスミス蒸留所(ロンドン) |
アルコール度数 | 41.6 % |
ボタニカル | ジュニパー、アンジェリカ・ルート、コリアンダーシード、カッシアの樹皮、オリス・ルート、アーモンド、シナモンの樹皮、甘草ルート、レモンピール、セビリアオレンジピール |
「シップスミス ロンドンドライジン」は、まず白鳥のボトルデザインの美しさに心奪われます。
2008年、約200年ぶりにロンドンで許可された蒸溜所だということがロンドンジンの歴史を変えます。
シップスミスの創業以降、ロンドンにはクラフトジン蒸溜所が次々と立ち上がり、現在のジンの流行につながったとされています。
キックの効いたドライジンの中に、華やかなフローラルの香りが鮮やか。ジン初心者や女性にも飲みやすいジンです。
5)オピーア オリエンタル スパイス ジン (Opihr Oriental Spiced Gin)
製造 | G&J 蒸溜所(ウォリントン) |
アルコール度数 | 42.5% |
ボタニカル | ジュニパー、ブラックペッパー、コリアンダー、パイパーベリー、ブラックペッパー など |
「オピーア」は、パンチのあるペッパーの香りが特徴の柔らかさとスパイス感があるちょっと不思議な味わいのジン。
ユニークな「オピーア」というネーミングは古代イスラエル、ソロモン王時代の伝説の都市の名前に由来しています。
その時代に流通していたエキゾチックな東洋のスパイスをイメージしてつくられたので、インドネシアやインド、モロッコなど、産地にもこだわっています。
スパイス系のジン、いつもと違うジンを飲んでみたい人におすすめ。エキゾチックな気分になれるジンです。
6)バスタブ ジン(Ableforth’s Bathtub Gin)
製造 | エイブルフォース蒸溜所(ケント州) |
アルコール度数 | 43.3 % |
ボタニカル | ジュニパーベリー、オレンジピール、レモンピール、カルダモン、コリアンダー、クローブ、シナモン など |
バスタブにつかったボタニカルのイラストと、クラフト紙とより紐、ワックスで仕上げられたボトルは、1本1本ハンドメイドでつくられています。
「バスタブジン」、ああ、もうかわいい!
そもそも「バスタブ・ジン」とは、アマチュアによってつくられた自家製スピリッツを差しています。1920年代の禁酒法時代のアメリカで浴槽をつかった密造酒として流通したコンパウンド・ジンの一種が由来となっています。
バスタブジンは、グリーンスピリッツにボタニカルを漬けたもので、再蒸留させずにつくる珍しいジンです。
ちなみにこの方法だと家庭でも作れます。ウォッカなどの蒸留酒に、ジュニパー・ベリー(Amazonで買えます)とレモンピールや好みの他のスパイスを漬け込む、という簡易バスタブジン製造法。
蒸溜をしていないため、ボタニカルのフレーバーが自然で、ジュニパーをメインにオレンジなどシトラス系フルーツの香りがさっぱり、しかもクリーミーな味わいが特徴です。
禁酒法時代に思いをはせ、1920年代のジャズを聞きながら飲んでみてください。レトロでしゃれたハンドメイドのボトルラップは、ギフトにも喜ばれます。
7)No.3 ロンドンドライ・ジン
製造 | ロンドン |
アルコール度数 | 46.0% |
ボタニカル | ジュニパーベリー、オレンジピール、グレープフルーツピール、アンジェリカ・ルート、コリアンダーシード、カルダモン |
「No.3ロンドンドライジン」の鍵をモチーフにしたデザインは、イギリス最古で300年の歴史をもつワイン商ベリー・ブラザース・アンド・ラッドのセントジェームズ街3番地にあるオフィスに由来しています。
「クラッシック・ドライ・マティーニにもっとも合うジン」、「ロンドンドライジンの本質を表現する」、この2つを理念につくられたシンプルで力強いジンです。
ジェニパーの香りくっきり、味わいは滑らかで飲みやすい。
8)サイレントプールジン(Silent Pool Gin)
製造 | サリー州 |
アルコール度数 | 43.0% |
ボタニカル | カモミール、バラ、ニワトコ、カフィアライムの葉、梨、ベルガモット、地元の蜂蜜 |
蒸留所の隣にある湧水サイレントプールから名付けられたこのジンは、この池の湧水から作られています。
さらにカモミール、バラ、ニワトコ、カフィアライムの葉、梨、ベルガモット、地元の蜂蜜など24種類の深い味わい。
それでいてバラの華やかな香りも女性心をくすぐります。
味わいもボトルもめちゃくちゃ瑞々しく爽やか。おすすめはオレンジピールを添えたジン&トニック
9)タンカレー ロンドン ドライ ジン(Tanqueray London Dry Gin)
製造 | ロンドン |
アルコール度数 | 47.3% |
ボタニカル | ジュニパー、コリアンダー、アンジェリカ・ルート、リコリス など |
イギリスで約200年の歴史をもつ「タンカレー」は古典的なジンの代表格です。
なぜかついつい手が伸びる「タンカレー」、率直でキレがあり、辛口ドライ!とはこのことよ、と納得。
1830年にチャールズ・タンカレーによってロンドン ブルームズバリーに創業。エリザベス2世の王室御用達の逸品です。キャップの上部に刻印された当時のおもてなしフルーツ且つタンカレー家の家紋のパイナップルを確認すべし。
ガツンとくる伝統的でバランスのいいドライジンならタンカレーがわたしのイチオシです。ボトルデザインもカクテルシェーカーをイメージして作られたと聞いてから愛でています。
ジントニックも美味しいけど、ドライ・マティーニをどうぞ。
10)サントリー ジャパニーズクラフトジン ROKU(六)
蒸溜所 | スピリッツ・リキュール工房(大阪) |
アルコール度数 | 47.0% |
ボタニカル | 桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、アンジェリカシード、カルダモンシード、シナモン、ビターオレンジピール、レモンピール |
日本のサントリーがこだわってつくったジン「六」は、イギリスでもとても人気があります。
イギリスブランドではありませんが、イギリス人に愛されていて、とにかく私も大好きなので10選に選びました。
まずボトルへの美意識がすごい!六角形の瓶の各面には6つの和のボタニカルの彫刻というこだわり。
味わいもさすがに上品で、桜のやわらかな香りの中に、山椒や緑茶、ゆずなど独特の和のフレーバーを感じます。もちろんジュニパーも主張しています。
「六」を飲んで「美味しくない」という人に出会ったことがありません。
美しすぎるボトル、一度のめばファンにさせちゃう日本ジンの誇り。ジン嫌いにもおすすめします。
まとめ
以上「イギリスの美味しいジン10選」の記事を紹介しました。
この記事で紹介したジンの他に、イギリスには「正統派ロンドン・ドライ・ジン」と呼ばれる伝統的なジンが存在します。
ゴードン(1769年創業)ロンドン・ジンの歴史をつくった老舗
ビフィーター(1863年創業)ロンドン塔の近衛兵ラベルでおなじみ(英国では緑のボトルです)
ボンベイ・サファイア(1987年創業)ヴィクトリア女王の肖像画でおなじみ
女性には上品なブルーのボトルにビクトリア女王の肖像画がいちいちワクワクさせてくれる「ボンベイ・サファイア」を。やわらかめの香りのいいジンです。
男性には、骨太の「ゴードン」がおすすめ。ジンクレイズ(狂気のジン時代)と呼ばれた1720年~51年に英国民の堕落のシンボルだったジン。この時代の終わりにアレクサンダー・ゴードン氏がロンドンで品質の高いジンを製造することに成功し、今では王室御用達にもなっています。
ジンの歴史を知るうえでも「ゴードン」は重要なジンなんですね。
そういえば、、イギリスは、扱えないのにやたらシェーカーやメジャーカップなどのバーセットをもっている家が多い印象です。
そんな人達をみると沖縄のホテルでバーテンダーを少々経験したわたしとしては、「うんちくたれてないで、気持ちよく飲めればそれでいいのかな」と思いつつ、、、
「あああ そんなことしたら せっかくのカクテルだいなし!」とか「ジン&トニックにシェーカー使えっていわれても。。」とまったく英国カクテル生活は困惑します。
ジンをつかったカクテルは「ジントニック」に「ジン・リッキー」、憧れの「マティーニ」に「ギムレット」などたくさんあります。わたしは「ロングアイランドアイスティー」も好きです。
英国風に自由に!まずは ジンをトニックウォーターで割った、ジン&トニックでジンをしみじみ味わいませんか?
イギリスでよく見かけるバーテンダーセットとカクテルレシピブックのおすすめを紹介しておきます。
イギリスでよく見かけるシェーカーは巨大!何人分つくる気?、、なので、一杯用で何かと使いやすい350mlサイズのシェーカーがおすすめ。
「カクテルバイブル」の名前に恥じない内容!全ページカラーのカクテルレシピの教科書的な本です。
ジンのウンチク話については、別ブログ「今イギリスからジンが熱い!毎日イギリス生活」の記事が参考になります。
この記事が参考になれば嬉しいです。アルノ